令和8年法改正で
人件費はどう変わるか
― 今やるべき対応と将来のコスト増 ―
「施行確定」と「今後の予定」を正確に切り分けて解説します。
令和8年度 改正内容一覧
施行が確定した改正と、今後予定されている改正をまとめて掲載しています。
令和8年度の雇用保険料率が全事業種別で引き下げられます。4月分の給与計算から適用されるため、給与計算ソフトの設定変更が必要です。
| 事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 合計(令和8年度) |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 5/1000 | 8.5/1000 | 13.5/1000 |
| 農林水産・清酒製造 | 6/1000 | 9.5/1000 | 15.5/1000 |
| 建設の事業 | 6/1000 | 10.5/1000 | 16.5/1000 |
60歳以上で在職中の厚生年金被保険者が受け取る年金について、支給が一部停止される基準額(賃金と年金の合計月額)が引き上げられます。高齢者が年金を受給しながら働ける範囲が拡大します。
令和8年4月1日から、従業員数101人以上の企業に対して「男女間賃金差異」および「女性管理職比率」の情報公表が義務付けられます(これまでは301人以上のみ)。
| 企業規模 | 必須公表項目 | 公表項目数 |
|---|---|---|
| 301人以上 | 男女間賃金差異・女性管理職比率 | 計4項目以上 |
| 101〜300人 | 男女間賃金差異・女性管理職比率(新設) | 計3項目以上 |
| 100人以下 | — | 努力義務 |
改正労働施策総合推進法により、令和8年4月1日から、がん等の病気を抱える労働者が治療しながら働き続けられるよう、事業主が就業環境を整備することが努力義務となります。
令和8年7月1日から、民間企業の障害者法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられます(令和6年4月に2.3%→2.5%に引き上げ済み)。対象事業主の範囲も変更されます。
改正労働施策総合推進法により、令和8年10月1日から全ての事業主に、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)への対策措置を講じることが義務付けられます。
令和8年4月1日から、被扶養者認定における年間収入の確認方法が見直されました。「労働条件通知書」等の労働契約内容が分かる書類に記載された賃金から見込まれる年間収入が130万円未満(※)であり、かつ他の収入が見込まれない場合は、原則として被扶養者に該当するものとして取り扱われます。
フリーランス・一人親方等の個人事業者等の労働災害を防止するため、労働安全衛生法が改正されます。請負・委託で作業を行わせる注文者・事業者にも保護措置が義務付けられ、災害報告制度も新設されます。
建設業等の元方事業者が実施する統括管理の対象、機械等貸与者等の講ずべき措置の対象及び建築物等貸与者の講ずべき措置の対象に、自社の労働者だけではなく、「個人事業者等」が含まれることが明確化されました。
個人事業者等に業務上の死亡・休業災害が発生した際の報告制度が始まります。特定注文者等に災害情報の把握と国への報告が求められる見込みです。
令和8年10月から、国民年金第1号被保険者(自営業者・フリーランス・アルバイト・無職の方等)も、育児のための保険料免除制度が利用できるようになります。
短時間労働者への社会保険(健康保険・厚生年金)の適用拡大は、企業規模要件を段階的に撤廃していく形で進みます。令和8年度内に「全事業所対象化」が行われるわけではありません。
雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)により、雇用保険の被保険者の加入要件のうち週所定労働時間が「20時間以上」から「10時間以上」に変更されることが決定しています。ただし、施行日は令和10年(2028年)10月1日です。令和8年度の施行ではありません。
対応チェックリスト
確定改正への実務対応と、今後の改正への準備事項をまとめました。
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